新生児からのスキンケア外来開設

 
 

元来 皮膚には、自分の体を外部環境から守り、健やかな成長を促すために存在します。外部からの雑菌やカビ、ハウスダスト、光、熱など様々な外敵から守ると同時に、水分や熱の喪失を防ぎ、体を守ります。これを皮膚のバリア機能と呼びます。生まれたばかりの赤ちゃんの皮膚には、まだ十分なバリア機能が備わっていません。

実際、新生児の赤ちゃんの皮膚は、大人に比べ、皮膚の厚さは約半分と薄く、バリア機能も低下しています。十分なバリア機能を発揮するのに、皮膚の一番外側にある表皮が重要です。表皮の中でも外側の角質層が大切です。角質層の3つの物質が重要です。①一つは、最外層の皮脂膜です。乳児期は、お母さんのホルモンの影響で皮脂が過剰分泌したり、未熟な皮脂腺の閉塞などで脂漏性湿疹を来したりすることもありますが、皮脂の分泌は乳幼児期に少なく、2030代でピークを迎えます。②二つ目は、角質層細胞自身の中に存在する天然保湿因子で、角質層の水分保持に働きます。③三つめが角質細胞と角質細胞の間に存在する細胞間脂質で、その中でよく知られている物質がセラミドです。これらの細胞間脂質が水分を挟み込んで水分を保持します。赤ちゃんでは、角質層が薄く、そのため天然保湿因子、細胞間脂質ともに少なく、乾燥しやすく、バリア機能が低下しています(図)。その結果として皮膚トラブルを起こしやすく、アトピー性皮膚炎などの皮膚炎に繋がります。

産まれたらすぐスキンケアで潤いのある皮膚を保つことで、赤ちゃんの皮膚トラブルを防ぐだけでなく、アトピー性皮膚炎の発症予防としても大切です。

スキンケアのポイントを中心に、家庭での皮膚の洗い方や保湿剤の塗り方など実践方法をお伝えします。