舌下免疫療法(ダニによるアレルギー性鼻炎) |
はじめに |
従来からダニアレルギー患者に対する根本治療として原因アレルゲンであるダニ抗原を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法が行われてきた。その投与方法は皮下注射によるものであった。 今回、舌下錠による投与で行う方法が新たに開発され、外来治療で行うことができるようになり、同様の効果が期待される。 本療法は、アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状をおさえたりできる可能性のある治療法であるが、アレルゲンを投与することから、アレルギー反応が起こる可能性があり、まれにアナフィラキシーを誘発する可能性もある。治療は長期少なくとも数年以上続けることが必要です。また、すべてのダニアレルギーによるアレルギー性鼻炎の患者さんに効くわけではありません。 |
対象 |
対象となるのは、検査でダニを原因とするアレルギー性鼻炎と診断された成人及び5歳以上の小児。 |
治療スケジュール |
1.原因アレルゲンの確認 アレルギー性鼻炎患者で、アレルギー検査(皮膚検査や血液検査)でダニが原因であることを確認。 2.開始1日目(初回投与) クリニックで行う。低用量ダニ舌下錠を舌の下に1分間保持し、その後飲み込む。その後5分間は、うがいや飲食は控える。服用前後2時間は、激しい運動やアルコール接種、入浴などは避ける。 3.開始2日目から7日目 自宅で低用量のダニ舌下錠を1日1回1錠服用する。特に服用30分間程度は副作用の発現に注意する。そのため近くに家族などいる時間帯に服用する 4.8日目以降 自宅で維持量のダニ舌下錠を同様方法で1日1回1錠を投与する。症状改善後も少なくとも数年、3年間は継続が望ましい。 |
副反応等注意事項 |
【治療前の確認事項】 ● 長期間の治療が必要。推奨は3年以上。 ● 毎日継続が可能で、定期的にクリニック受診できる。服用の有無など日記で確認する。 ● アナフィラキシーなどの副作用の起こる可能性があり、その際の対処法を理解する。 【服用時の注意事項】 ● 舌の下で1分間保持してから飲み込む。その後5分間は、うがい・飲食を控える。 ● 服用前後2時間程度は、激しい運動、飲酒、入浴などは控える。服用後30分間は、副反応の発現に注意する。 ● 誤って多く服用した際は、直ちに吐き出し、うがいをして、異常が認められた際には、医療機関にて診察を受ける。 ● 服用したがどうか不確かなときは、その日は服用しない(日記でチェックする習慣を付ける)。 ● 服薬の中止や長期間服薬を中断後に再開する際には、医師に相談する(自己判断しない)。 ● 鼻炎症状が激しいときや喘息発作があるとき、口の中に傷や痛みを感じるとき、風邪や体調が悪いとき、抜歯など歯科治 療を行ったときは、服用前に医師に相談してください。 【副反応について】 ● アナフィラキシーを起こす可能性があることを認識する。じんましんや皮膚の発赤が出現したとき、吐き気・嘔吐・胃痛などが出現した時、喉の掻痒感や喘鳴・呼吸困難感などが出現したとき、頻脈やふらつきなどが出現したとき、不安感や意識の混濁などが出現したとき、視野の狭窄や視覚異常が出現したときには、直ちに医療機関受診あるいは救急車要請が必要です。 ● 口の中の浮腫、かゆみ、異常感、喉の刺激感・不快感、耳のかゆみなどは、ときに認められる副反応である。 |
ダニ対策 |
言うまでもなく環境からのダニアレルゲンの回避対策は、ダニアレルギーの患者さんには必須不可欠です。下記にその対策概要をまとめです。(ダニ・カビ・ハウスダスト対策も参照して下さい) 【ライフスタイルを変える】 じゅうたん類は敷かない。布製のソファーは使わない。風通しがよく、掃除のしやすい部屋にする(調度品やなど物を多く置かない)。ペットは飼わない。タバコは吸わない(家族全員)。冷暖房システム・調理システムの改善。 【温度・湿度に注意】 暖房時の室温は15〜20度、冷房時の室温は25〜28度程度にし、ともに効かせすぎに注意する。湿度は50%前後が理想である。加湿器使用時は、50%を超えないように注意する。 【換気をしっかり】 住宅ないの通気をよくし、換気をこまめに行う(少なくとも1時間に5分間の割合)。暖房器具使用時には特に注意。 【掃除をしっかり】 居室の掃除はまめに、とりわけ寝室は、毎日時間をかけて行う。拭き掃除が大切です。じゅうたんやホットカーペットは、入念に、一畳あたり5分以上かけて行う。 【寝具の対策が重要】 衣類乾燥用袋付きの布団乾燥機で、寝具を乾燥袋にいれ、乾燥(25度以上で30分)させる。寝具のダニを死滅させ、そのあと掃除機で布団の両面を吸引する。天日干しでは殺ダニ効果は期待できません。タオルケットや布団カバー、枕カバー、カーテンなど洗濯可能なものは、定期的に洗濯。毛布、枕、ぬいぐるみなど洗濯できないものは、布団と同様方法が一番です。 |